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兵卒物語 06)ギーズ

2011.04.07 15:14|小説 『兵卒物語』

なんてこった。
7人…いや8人か。かなり近い。囲まれてる。
明け方、微かな気配で目が覚めた俺は、2秒でかなり正確に状況を把握した。

こいつは参ったな。飯がうますぎて緊張感が解けちまった。
いつもは囲まれる前に、近付いてくる敵を各個撃破して向うの前線に穴をあけるんだが
こうも近付かれると、1対3とか4とかの状況になっちまう。

とはいえ、足の運びや衣擦れの音から、囲んでる奴らがたいした装備じゃないのがわかる。
しかも戦闘経験は低い。出来るだけ無音で近付こうとしているのは、戦闘技術が高くないからだ。
剣技にたけていたら、もっと距離のあるところからでも平気で襲いかかってくる。

だが…
厄介そうなのが1人…いや2人か。
大曲刀の奴と無手の奴。こいつらを先に斃しちまえば、あとはあのボクちゃん(エダム)でも
なんとかなるんだが、いかんせん距離がなさすぎる。

逃げるか?
いやいや、初日でしかも山賊ごときで逃げたら俺の評判に傷がつく。
とにかくこいつを…
「おい坊主!起きろ」小声で鋭く囁き、エダムを覚醒させる。
「あ、ギーズさん、どうし…」覚醒の途中で事態に気付く。遅いんだよ。
馬車の扉を叩いてふたりを起こす。
驚いたことに姫さんも婆さんも起きていて、「囲まれてますね」事態を把握している。

「すまねぇ、ちょっと油断しちまった。とにかく馬車で突破する。坊主!後ろの荷台は捨てろ」

この馬車は馬が2頭で牽いている。いざと言うときは馬車を切り離し馬だけで2人ずつのせて
距離を稼ぐという手もある。向うは徒歩だ。

だが敵さんもそこそこやる。馬車が通りそうな場所に人を配置し徐々に態勢の悪い場所に
追い込まれているようだ。わからないが、たぶんこのまま進むと行き止まりになりそうだ。

Uターンできるぎりぎりのところで方向転換し、叫ぶ。

「婆さん!馬扱えるか?」
「私がやります!」姫か!?ふふん、見た感じおしとやかそうだが、やんちゃそうな気がしたよ。
「よし、かわれ。…坊主!いくぞ」とにかく相手の人数を少し減らさないと、どうにも動きが
取りづらい。手綱を姫に渡し、飛び降りる。後ろからエダムが続く。

左に2人、右に2人、その後方にヤバそうな大曲刀と無手。さらに後方にあと2人。

思った通り統制はとれてねえ。連携もくそもなくただ囲んでるだけだ。こういう集団は
頭を潰すと崩壊する、が…大曲刀が前に出てきた。おそらくNo.2だ。頭はあの無手だろう。

「馬と荷、それと女をを置いていけ。したらお前らの命までは取らない」大曲刀が言う。
「婆さんがいるが、どうする?」俺はニヤリと笑って言いかえす。
「ばばぁも女だ。置いていけ」
「婆さん良かったじゃねーか。まだまだ女として見てもらえてるぜ」
「当然だ。私はこう見えて宮廷では殿方の…」「オルダ!」姫さんが頬を赤らめて遮る。
まったく…緊張感のない奴らだぜ。だが…
「嬢ちゃんはどうでもいいが、婆さんはわたせねえな」シャラリ。黒鋼の長剣を抜く。

スパンッ 一の刃で右の2人の腿と脛を斬る。とにかくこの場は動けなくすることが重要で
命まで奪う必要はない。だが…浅い。が、勢いそのままに大曲刀へ斬りかかる。

ガツンッ 刃で受けられる。岩に斬りかかったような手ごたえ、手が痺れる。
そのまま押し返されて、逆に斬りかかられる。

ズサッ 紙一重でよけたつもりが、頬を斬られる。下から上に二の太刀、これもよけたつもりが
肩を浅く斬られる。三の太刀、袈裟斬り。これは剣で受け流す。戻りが速い。だが…俺よりは遅い。
刀の戻り際を狙って、右手の親指を切り落とす。成功。

「ぐあぁ」利き腕の親指だ。当分剣は握れまい。

ちらとエダムをみる。なんとか左の二人を押しとどめている。ほう、少しはやれるな。
決して気を抜いていたわけではないが、馬車の2人とエダムの事を気にしながら戦っていたのは
事実だ。

ドオォン
一瞬何が起こったのかわからないまま、膝をついた。なんだ?なにがおこった?
息が出来ねぇ…鳩尾か?…あ、あの無手のヤツか?
まったく戦う姿勢を取れないまま、今度は左から両手が突き出された。

ぐはぁ 先の大曲刀使いと同じように今度は俺が地面にはいつくばった。こいつぁつえぇ…
割りにあわねぇ、あんな前金じゃたりねぇぞ。

どうする?どうする?
考えている余裕を与えずに、這いつくばっている俺の腹につま先がめり込む。この体術使い野郎!
吹っ飛ばされて川に落ちる。しまった!流れが速い!
「にげっがは…ごぼ…」強烈な蹴りで横隔膜が痙攣して息が出来ねぇ…溺れる…マジか
こんなところで傭兵人生終わっちまうのか…

視界の隅にエダムが川に飛び込む姿が映る。

バカが…援けるのはあっちだろうよ

意識が遠のいていく…

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